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身近な野草についてあれこれと・・・。 日本の山野草を種子から育ててみませんか?

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ボタンウキクサ

ボタンウキクサ
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八月末の淀川中流域のワンドの画像です。のんびり水鳥が佇んでいるのは、草の茂った水辺ではなく、青々と茂った浮き草のボタンウキクサです。6月に通りかかった頃には全くというほど目につかなかったのが、ちょっと見ない間に浮島状態です。
 ボタンウキクサと言うより、ウォーター・レタスという方が分かりやすいでしょうか?下の画像の水草をホームセンターやペットショップでご覧になった方も多いと思います。あるいはお家で育てられているという方もいらっしゃるでしょう。水槽で育てているものは小ぶりですが、画像のものは直径40cm以上にもなっています。

ボタンウキクサ

 ボタンウキクサは熱帯アフリカ原産のサトイモ科の多年草で、本来は日本に自生していないはずの外来生物です。従来浮き草として人気があったホテイアオイよりも丈夫で清潔感があり、現在では水槽用の浮き草では最も人気のある植物となっています。日本に輸入されたのは20年ほど前のことで大阪花博のガーデニングブームに乗って一気に日本中の家庭に普及し、それらと期を同じくして各地の平地の河川・池沼で野生化が見られるようになりました。
 
 熱帯原産であるため成体では越冬できないとされますが、種子で越冬しているようです。成長適温も高いのですが3ヶ月ほどの真夏期間に極めて旺盛な生育をし、栄養繁殖を繰り返してねずみ算並みに増殖します。小さな沼なら瞬く間に埋め尽くしてしまいます。耐塩性があり河口近くの汽水域にまで見られることがあります。淀川下流では盆が過ぎると海から上ってきたクラゲの大群と、上流から流されたボタンウキクサがない混ぜになってグジョグジョぐちゃぐちゃになって打ち寄せられていることもあります。
 このボタンウキクサは近く「特定外来生物」に指定される予定だそうです。特定外来生物とは日本に帰化した外来種の中で本来の生態系に著しく悪影響を及ぼす種だと特にリスト化されたものをいいます。指定された種は無許可での輸入や飼育を禁じられ、すでに野生化したものは駆除することが定められています。以前紹介したナガエツルノゲイトウは既に指定されています。
 
 具体的にボタンウキクサが繁茂することで日本の生態系にどのような悪影響が起こっているのでしょうか?
 まず日本在来の水草類との競合による淘汰が考えられます。在来の水草が淘汰されると、それら水草に特化して生活してきた昆虫類等にも影響を及ぼし、生態系バランスが崩れることとなります。
 第二に大量に増殖したボタンウキクサが枯死腐敗することで起こる水質の汚濁です。この問題は以前とりあげたオオフサモの記事で触れています。ホテイアオイやオオフサモ等は旺盛な成長力を誇っていますが、それらが枯死したのちに回収せず放置すれば大量のヘドロとなり、富栄養化した水域は深刻な汚染に苛まれることとなります。ボタンウキクサは世界十大害草に数えられるホテイアオイを上回る成長・繁殖力を持つと言われます。環境に与える影響の深さは推してはかるべきでしょう。
 第三に重要なのは、水中の生き物とくに沈水生の水草や植物プランクトンへの影響です。ほとんど全ての生き物は酸素がないと生きていけません。これは水中で生活する魚や昆虫・微生物にとっても共通することです。だから私たちは水槽で魚を飼うときは、ブクブクを使って空気を送り込んで酸素を供給しています。でも自然の池や沼にはブクブクはありません。水中に含まれる酸素の殆どは沈水生植物か植物プランクトンの光合成によって供給されているのです。下の画像をご覧ください。
ボタンウキクサ
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 水辺に群生したボタンウキクサの隙間から見た水の中には水草が見えています。もし水面にびっしりとボタンウキクサが生育すると、水中には日光が届かず水中の植物は光合成ができなくなってしまいます。もし沼のような閉鎖された水域でこのような状態が続くと、水中の酸素が欠乏して生き物の住めない環境になってしまいます。表面では青々とボタンウキクサが茂って緑豊かに見えても、そのすぐ下はヘドロばかりで虫も魚もいない死んだどぶ池になってしまうのです。

 淀川ではこの数年来毎年ボタンウキクサとナガエツルノゲイトウの除去作業が行われていますが、広大な範囲にわたって広がった植物を根絶するなど不可能なことで、流れに乗って毎年分散して分布を広げてその勢いを増し続けています。イタチごっこのようですが、もしも除去をやめてしまうと淀川のワンド群などは数年で覆い尽くされて、死んだ沼地と化してしまうかもしれません。
 水は命の源、河川の汚染は海を汚し土壌を荒廃させ、人間の生活をも蝕みます。私たちは健全な生活を維持するためには、どれだけ莫大な労力と資材・費用がかかろうと、健全な水環境を維持し続けていかなければなりません。これは全ての人間が責任を持たなければいけない言わば生きる上での義務です。
 日本中の水辺を覆いつくそうとしているボタンウキクサの氾濫の責任は、ほとんどが私たちガーデナーにあります。このような害草になるとは知らなかったという人もあるでしょうが、これからはもうそんな言い訳は通用しません。
 あなたの庭で育てている植物の来歴や性質をどれぐらいご存知でしょうか?私たちは自分たちの都合だけで新たな植物を輸入しては、おもちゃのように消費してきてきましたが、相手は生き物であることを忘れてしまっているのではないでしょうか?
 繰り返しますが外来生物は一度定着してしまうと、多くの場合抜本的な解決は不可能であり、その後の拡大を抑えるだけでも甚大な労力を必要とします。外来生物の問題の唯一の効果的な対策は、外来生物を決して野に放さないことです。私たちのほんの些細な不注意や怠慢が原因で、この国の生態系や自然環境に修復不可能な影響を及ぼしてしまうことだって、十分にありえるのです。特定外来生物の問題は全てその実例です。
 外来生物による問題に関して分かりやすく解説した朝日のサイトにリンクさせていただきます。もしもこれまで関心を持たれていなかった方もぜひ参照されるようお願いいたしますm(__)m。一人ひとりが正確な情報による知識を持つことが最大の対策だと思いますので・・・。さらに詳しく外来生物について知りたい方は、国立環境研究所侵入生物データベースが参考になります。
 難しい問題ですが事態は切迫しています。他人事でなく、私たち自身のそして私たちの子孫の問題として考えましょう!!
 
 今回の記事はWAKAさんのブログ「はなだより」の記事外来生物を参考にさせていただきました。WAKAさんの「外来種の生物は自分で好き好んで未知の場所に来たわけじゃないのになーなんていう愚痴が聞こえそうです。」というつぶやきがとても考えさせられます。
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テーマ:野草の写真 - ジャンル:写真

コメント

水が死ぬ!

知らないでは済まされないですね。多くの人達の無知のツケが回っていますね!いや~~、自分自身にも言える事だから尚更怖いです。
昨日のニュースで、大阪だったかな?巨大サソリが、
あるマンションのテラスで見つかった話には、恐怖しました。
だって、見つかったのは2回目なんですって!(同じ場所!)
逃げた?か、捨てられたかしたサソリが独自に繁殖している可能性もあると聞いて、腰が抜けそうでした。
侵入生物データーベース、見てきます!

  • 2005/09/16(金) 02:17:50 |
  • URL |
  • かぶだよし #LWIOhipc
  • [ 編集 ]

ブームの陰で…(-。-)

こちらで、「オオフサモ」の記事を読んだあと、近所の雑貨屋さんの店先で、
大だらいいっぱいのウォーターレタスを、"粗品"として配っているのを見かけまして…
この水草も、同類だよなと思っていました。

ホームセンターでは一斉に 
売れ残った外国産クワガタ虫のバーゲンセールを始めました。
輸入解禁されるまでは、あこがれの虫だったのに、今や二束三文です。

ただでもらったもの、育てるのに苦労しなくて済むもの、安く買ったものは、
大事にしないのが、残念ながら人の常。
生き物は、おもちゃじゃないです。

「侵入生物データベース」
見るとブルーになりますが、多くの方に見ていただきたいですよね。

こんな所から何ですが、拙宅へのコメントとトラックバック、
ありがとうございました。

  • 2005/09/16(金) 09:03:28 |
  • URL |
  • はもよう #hv3mJpi2
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ボタンウキクサは

関東では大問題になっていないような気がするのですが、深刻な問題ですね。
近くの小学校の生徒の授業の一環でしょうか、最近ケナフが植えられました。
CO2に関し環境にいいということで、実地教育をする学校が多いらしいですが、これも外来種の脅威が心配され、論議があるようですね。
外来種を栽培する場合は管理して、散逸に注意するべきなんでしょうが、そう簡単に管理できるものでもなく、やはり持ち込まないのが一番ですね。

  • 2005/09/16(金) 10:39:26 |
  • URL |
  • 横浜のおーちゃん #-
  • [ 編集 ]

自覚しないと

ご紹介ありがとうございます。
私のコメントまで・・・
水面を埋め尽くすようなボタンウキクサ,すごいです。
外来生物のたくましさを感じますね。
家庭の水槽に浮かんでいる分には涼しげで綺麗なのですが・・・
本当に自然界に放さないで欲しいです。
最近サソリだピラニアだと世間が騒がしいですが,全ての犯人は人間です。
自覚を持って欲しいですね。

  • 2005/09/16(金) 21:25:53 |
  • URL |
  • WAKA #RVp6i8PI
  • [ 編集 ]

かぶだよしさん

怖いのは無知だけでなく、知っていてもやりたい放題の風潮が恐ろしいですね。
バス釣りをする人も、園芸業者も私たちガーデナーも自らの行動が招く結果を自覚している、にも関わらず自らの欲望を優先してしまう。
ため息ばかりです。

  • 2005/09/20(火) 08:08:12 |
  • URL |
  • ごまのはぐさ #-
  • [ 編集 ]

はもようさん

命を金でやりとりするということの不自然さ、
このことを考えられなくなるのが最も恐ろしいです。
物事には多用な側面があるのに、
自分にとって都合の良い側面ばかりを見て
それを全てだと思い込もうとする。
いろいろな側面について、立ち止まって考えることも大切です。

  • 2005/09/20(火) 08:24:11 |
  • URL |
  • ごまのはぐさ #-
  • [ 編集 ]

おーちゃん さん

ケナフの問題も、自分に都合の良い面だけをみて導入し、
別の側面に気付いた例ですね。
しかし気付いた時にはもう手遅れです。
人間は自分の力とその破壊力大きさをを自覚しないと、
取り返しのつかないことになりますね。

外来種の問題は、別の政治的な思惑も絡みそうですのであまり踏み込みたくないのですが、
持ち込ませないのは無理でも、管轄を一元化してもっと効果的な規制を設けるべきですね。



  • 2005/09/20(火) 08:33:01 |
  • URL |
  • ごまのはぐさ #-
  • [ 編集 ]

WAKA さん

淀川では毎年おびただしい量のボタンウキクサとナガエツルノゲイトウを引き揚げるのですが、瞬く間に覆い尽くされてしまいます。
しかしこれらは農業肥料として資源となる可能性もあるんですね。
ウサギの餌というので思い出しました。
嫌ってばかりいないで、仲よくする方法も考えないといけませんよね。
でもこれ以上の氾濫はくいとめないと。
私たちの責任ですからね。

  • 2005/09/20(火) 08:39:40 |
  • URL |
  • ごまのはぐさ #-
  • [ 編集 ]

帰化植物なんと1400種以上とは

帰化植物のリスト上げてみてびっくりしました。1400種以上もあるとは、想像もつきませんでした。またこれも私素人でも わかりやすいかな 思ってびっくり、
さすが 専門家  科名でもなく 和名 順でもなく わけわかりません。
植物だけでなく 他の生物に とっても やはりなんとかせにゃ ですよね。
素人でも つくづく考えさせられます。 二山歩き 行きが三時間半・帰りが三時間と我が家 ペースで無事帰りました。またぼちぼち アルバムでもと

  • 2005/10/29(土) 21:01:42 |
  • URL |
  • y-san3737 #-
  • [ 編集 ]

y-sanさん

現状はもっと悪化していますよ。
80~90年代には膨大な量の外来種が人間によって持ち込まれましたから。
ふみとどまらないといけません。

山歩き、けっこうたっぷり歩かれたようですね。
アルバムはマッタケですか?
違いますよね(^^)

  • 2005/10/30(日) 21:01:07 |
  • URL |
  • ごまのはぐさ #-
  • [ 編集 ]

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外来生物

夏の花の印象のホテイアオイがまた咲きました。涼しげな水色(薄紫?)の花で6枚の花弁のうち1枚にだけ模様があるのが面白いです。今年はカメコの餌にかなりの量が流れてしまい,花はなかなか見られませんでした。ホテイアオイはペットの餌の扱いにもされていますので,(私

  • 2005/09/16(金) 21:17:45 |
  • はなだより

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