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身近な野草についてあれこれと・・・。 日本の山野草を種子から育ててみませんか?

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クソニンジン

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 ちょっと呼びにくい名前ですが、標準和名として図鑑でもこう記載されていますので、伏字せずに表記させていただきます。
 
 この野草名前のインパクトが強すぎるためか、あまり一般的に知られた野草ではないようです。でも同じく気の毒な名前のヘクソカズラがGoogle検索で72,800件ヒットするのに対してクソニンジンではわずか241件というのはあまりに認知度が低いように思います。
 
 クソニンジンは名前にニンジンと付きますが、キク科ヨモギ属の大型の一年草です。草丈は2mを超えることも普通です。9月6日の記事でとりあげたカワラニンジンとはごく近縁で姿も似通っていて、生育環境もだぶり混生しているところも見られます。この野草はカワラニンジン同様印象があまりに雑草然としているために気付かれないのですが、案外身近な空き地や道端でも雑草として生えていたりします。基本的には平地の水辺や湿地を好むのですが、うちの近所では十三のネオン街の路地裏とか、神崎川沿いの工場の跡地だとかでも群生していることがあります。ただしそんなところではひょろひょろと背丈ばかり伸びたアスパラみたいな姿で、上の画像のように見事に育ったものには出会えませんが・・・。
 ともあれ皆さんのご近所でもきっと見つかりますので、興味を持たれましたらお暇なときにでもちょっと探されてみてください。

クソニンジン
 芽出しのころは本当にニンジンそっくりで名前の下半分の由来がよくわかります。緑濃く繊細な葉姿は美しくテーブル花に使いたいほどです。下部では分枝せず、地面からまっすぐに茎を伸ばします。  

クソニンジン
 葉は薄くシダの葉のように2~3回羽状に深裂し、先はあまり尖らず柔らかな印象です。葉を触るとヨモギ+ラベンダーの特有の強い香りがあり、乾すとその香りはさらに強くなります。保育社の野草図鑑では「悪臭がある」と書かれていますが、ラベンダーを悪臭と取らない限りはその類の臭いではありません。

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クソニンジン
 芽出し後から放射状に枝を出しながらぐんぐん成長し、枝はまた円錐状に小枝を出しながらよく茂り、モミの木のような形でこんもり成長します。全体の大きさでは国内のヨモギでは最大級です。

クソニンジン
 初秋にカワラニンジンより少し遅れてそれぞれの小枝にごく小さな蕾を無数につけます。大きさは1~2mmでヨモギ類で最小の部類になります。

クソニンジン
 花の構造はキク科の特徴である頭花です。画像ではまだ全てつぼみですが、1?の花の中に10個以上の筒状花が並んでいます。頭花における筒状花とは飾りになる花弁を持たない花のことで、下の画像のようなキクの仲間(ユウガギク)では周りに舌状花と呼ばれる飾りの花弁がある花が並び、その内側にある黄色い部分が筒状花になります。パッと見は違ってもどちらも基本的な構造はよく似ています。

ユウガギク


 さてクソニンジンのクソの由来についてですが、図鑑では葉に悪臭があるからとされていたことは書きました。そして悪臭だとは思えないことも。これは実際に匂いを嗅がれた方なら同意いただけると思います。英名ではスゥイート・ワームウッド(直訳すると「甘いニガヨモギ」となりこれも変な具合ですが)とポジティブな呼び名ももらっています。いやな名前仲間のヘクソカズラは気の毒といえば気の毒ですが、実際臭いことには大方の人には異論は無いと思います。
 ではどうしてこんな名前になってしまったのでしょうか・・・。

 私は沖縄料理が好きで食べ歩くのですが、そこでたまに食べる「フーチバージューシー」という料理があります。これは何かというと生のヨモギの葉が入ったおじやなんです。これがいい塩梅で入っていると香りがさっぱりしてなかなかに美味しいのですが、店によってやたらどっさり放り込まれていると、鼻についてすごくいやな臭いに感じられるんです。ジャスミンが少しなら良い香りでも、満開になると悪臭に感じられるのと同じ感じです。ジャスミンの香りには実際にスカトール(う○こ臭成分)が含まれていますが、ひょっとしたらクソニンジンにもそのような成分が含まれているかも?これは全く裏づけの無いの推測です。
 
 この野草は元々は中国原産の帰化植物で、古代に薬用に持ち込まれたものが日本中に広まったのだといいます。そして近代までは日本中の空き地や水辺に蔓延して、少し前のセイタカアワダチソウ、現在のヒメムカシヨモギやオオアレチヨモギのようなポジションにいた雑草の代表格だったそうです。きっと当時は嫌われ者だったと思います。だからこの臭いの強い雑草に侮蔑の意味を込めて殊更に「クソニンジン」なんて名前をつけたのではないかとも考えます。ヘクソカズラだって臭いだけならともかく、とてつもなく繁殖力が強くて恐ろしく蔓延りますので、「早乙女花」という雅な名を没収されてヘクソカズラという名に改められたのかもしれません。クソニンジンもかつては「青蒿」という漢名で詩に詠まれたこともあったそうですが・・・。
 
 輸入当初は皮膚病に効く薬草としてもてはやされ、現代でも中国では盛んに生産されるそうですが、最近はクソニンジンからマラリア原虫を殺すアルテミシニンという成分(ヨモギ属は学名では月の女神に由来するArtemisiaと呼ばれます)が発見されて世界中で注目を集めているそうです。しかも同じ成分を含む仲間のカワラニンジンの3倍もの量のアルテミシニンを含有しているのだそうです。
 マラリアの特効薬にはキナノキから作られるキニーネや抗生剤のいくつかが知られるだけでしたが、最近はそれらに耐性を持つ原虫が現れ、またキニーネ自体が容易に大量生産できないため、栽培容易なクソニンジンは人類をマラリアの猛威から救う救世主となるかも知れません。
 
 この国では「クソニンジン」なんて名前をつけたために嫌われたか、あるいは環境の変化による栄枯盛衰か、いつのまにか姿が見られなくなり名前すら忘れられつつあります。しかし近い将来温暖化によってマラリアがこの国にも無縁のものではなくなっとき、私たちは再びこの野草の薬効にすがらなければならないでしょう。そうなった時でも私たちはこの野草のことをクソニンジンだなんて名で呼び続けるのでしょうか?
 
関連記事 カワラニンジン
クソニンジンプロジェクト クソニンジンが世界を救う!?
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テーマ:野草の写真 - ジャンル:写真

コメント

面白いですねえ。

十三にもありますか。どこかで見られますね。
いつも通り、解説が素晴らしく勉強になります。
ひどい名前も多いものですね。すこしは優しく命名したいものです。

  • 2005/09/10(土) 17:53:55 |
  • URL |
  • 横浜のおーちゃん #-
  • [ 編集 ]

ごまのはぐささん、こんにちは。
クソニンジンとは可哀想な名前ですね。
「よもぎ+ラベンダー」の香りならさほど悪い匂いじゃないでしょうに…。
いつかマラリアの特効薬となって、みんなを見返す日がくるといいですね。

  • 2005/09/11(日) 09:11:00 |
  • URL |
  • にがよもぎ #3/VKSDZ2
  • [ 編集 ]

変な名前べスト5入り確実

かわいい花なので驚きました。花の姿より名前が強烈で、一度聞いたら絶対忘れないです。マラリアの特効薬として見返す日が来たら、天使のような名前に変えてもらえるのでしょうか?

  • 2005/09/11(日) 21:40:14 |
  • URL |
  • hanahana #RAa2TALo
  • [ 編集 ]

近い将来きっと!

温暖化によって、マラリアは確実に日本に上陸してくるでしょう!
九州や四国、中国地方にしか居ないはずのクロアゲハがどんどん北に移動しているようですし、
もしかしたら、日本にシエスタが習慣として根付いてしまうかも?
そして、「クソニンジン様」と呼ばれる日が来るのかもしれません。v-218

  • 2005/09/12(月) 01:14:52 |
  • URL |
  • かぶだよし #LWIOhipc
  • [ 編集 ]

おーちゃん さん

これからは野生でなく、栽培品で見られるかもしれませんね。
自生は河原や水辺近くにまだ残っていると思います。
それにしても・・・、きつい名前です。

  • 2005/09/12(月) 07:37:32 |
  • URL |
  • ごまのはぐさ #-
  • [ 編集 ]

にがよもぎさん

乾すとヨモギの匂いが抜けてラベンダーのようになります。
マラリアは本当に深刻な問題ですので、
普及して役にたってもらえればいいですね。

  • 2005/09/12(月) 07:49:28 |
  • URL |
  • ごまのはぐさ #-
  • [ 編集 ]

hanahanaさん

見た目も香りも悪くないのに、変な名前でみんな台無しですね。
海外では最初から天使のような名前なのに、なんで日本だけ?

  • 2005/09/12(月) 08:01:35 |
  • URL |
  • ごまのはぐさ #-
  • [ 編集 ]

かぶだよしさん

マラリアは恐ろしい病気ですが、
世界の問題を自分のことと考えるにはいいかもしれませんね。
シエスタは大賛成ですヽ(^。^)ノ。
サマータイム導入して長くなった時間をシエスタに充てましょう!!

結局クソニンジンさまって感謝されても、改名されないんでしょうね。

  • 2005/09/12(月) 08:12:09 |
  • URL |
  • ごまのはぐさ #-
  • [ 編集 ]

匂い確かめてきました。

●先日は、このクソニンジンを教えていただきありがとうございました。
次の休みの日に、確認しました。
元々あった場所は草刈りされていて、なかったので近くを探したら1本あり、
匂いをかいでみました。
ご教示の通り、臭いというものではなく、強いハーブのような香りでした。
私が行くところはあまり見かけないのですが、
将来のため?にしっかり覚えておきます。
ありがとうございました。

  • 2005/09/13(火) 18:29:10 |
  • URL |
  • るな #-
  • [ 編集 ]

●るなさん

こちらこそいろいろ勉強になりましたm(__)m。
ヨモギの仲間は普通群生するのですが、
クソニンジンが群生しているのはあまり見かけませんね。
住みにくくなってしまったのでしょうか。
抗がん・抗菌効果もあるそうなので、
農場で大切に育てられるようになるかもしれません。

  • 2005/09/14(水) 08:29:27 |
  • URL |
  • ごまのはぐさ #-
  • [ 編集 ]

どこかでみたような

arazaranです。これがクソニンジンですか。ユーモアな名前ですね。サワラの葉っぱみたいです。河川敷でいそうな雰囲気がします。また川原を歩く楽しみが増えました。

  • 2005/09/14(水) 12:39:12 |
  • URL |
  • arazaran #-
  • [ 編集 ]

arazaranさん

クソニンジンです(^^)。
昔は関東の河原はクソニンジンだらけだったそうですので、
あってもおかしくありませんね。
水のそばを探せばいろいろ見つかると思いますよ!!

  • 2005/09/15(木) 00:37:43 |
  • URL |
  • ごまのはぐさ #-
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