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身近な野草についてあれこれと・・・。 日本の山野草を種子から育ててみませんか?

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みずあおい 水葵 ミズアオイ科

 昨年の今頃、岡山県倉敷にお住まいのくらちゃんから、大きな茶封筒が送られてきました。中に入っていたのはジップ袋に水に浸かったミズアオイという植物の種子でした。
 
 ミズアオイというのは、金魚鉢に浮かべる浮き草としておなじみのホテイアオイの仲間で、ホテイアオイは最近外国から入ってきた移入種ですが、ミズアオイは古くからこの国にあった水田の雑草だったそうです。だったといういうのは、近年急激に数を減らし絶滅が心配されて各地で保護されてやっと生きながらえているというのが現状のようだからです。
  
 岡山県倉敷にはミズアオイの群生地があり、岡山大学の先生が中心となって地元のボランティアとともに大切に保護されています。しかし盗掘や踏み荒らしが絶えないので看板を立ててミズアオイの種子を無料で分譲しているそうです。くらちゃんもこの大学の先生から種子をいただいて、ご自分でお育てになったものから、皆さんにお配りしてくださいとこちらに沢山お送りくださったのです。
 
 ミズアオイという植物に関して、一般的にあまり知られていないのか、あるいは栽培が難しそうという印象があるのか(わたしもそういう印象をもっていました)、昨年はあまりご希望いただく人がいなかったのですが、育ててみるとベランダでも全然簡単で、しかもその花は、この国の野草では最も美しいものに数えられるほど、清楚で華やかでした。
 これはぜひとも皆さんにもお育ていただければもったいない!!ということで、我が家での栽培経過報告とともに、ミズアオイについて紹介させていただきます。

ミズアオイ
 冬の間、ミズアオイの種子は乾燥に弱いということで、水に浸したままジップに閉じて、紙袋に入れて、冷蔵庫の野菜室に保存していました。ミズアオイの種子は発芽が難しいという人もありますが、性質を知っていればよく発芽させることができます。ミズアオイは無酸素状態(水に完全に浸って外気に触れないということ)で日光が当たって、水温が一定以上に上がると(田植えごろの田んぼの水温くらい)発芽が始まるのです。ということで彼岸ごろに出してきて、コップに入れて窓辺に置いていたところ、ほんの数日で発芽が始まってしまいました。発芽まで時間がかかると思っていたので、これは誤算でした。

ミズアオイ
 ミズアオイは単子葉植物といって、イネやユリの仲間と近縁の植物です。よく見るとイネの発芽に似ています。
 実はわたしは、この時点でミズアオイは「浮き草」だと思い込んでいまして、水槽で浮かべて一ヶ月ほど育てていました。いつまでたってもモヤシ状態で成長が芳しくないので調べたところ、泥の中にしっかり根を張って生活する植物だと判明、急いで田土を買ってきて田植えの要領で植え込みました。

ミズアオイ
 定植後1ヶ月、6月の様子です。底をふさいだ鉢に田土で植えて水をひたひたにして管理しています。成長が早く間引いても間引いてもすぐに一杯という状態です。
 葉の形は最初は細長いですが次第にへら型、さじ形、トランプのスペード型となります。葉の展開の仕方はイネやサトイモに似ていますが、ちょっと変わっていますので、お育てになって観察されてください。
 植物体は軟弱で簡単に折れますが、すぐに新しい葉を出して復活し、お百姓さんを困らせた強害雑草の片鱗を垣間見せます。

ミズアオイ
 2ヶ月後の様子です葉の幅は10cm。とにかく水と肥料が好きでどんどん大きくなります。肥料は固形肥料を思い切って投入しますが特に害はなく青みを帯びた濃い緑色の葉がツヤツヤ美しくなります。ミズアオイの名は水辺に生えてフタバアオイのように艶のある美しい葉をつけることから名づけられたそうです。花がなくとも暑い夏に茂る葉は涼しげで十分に観賞価値があります。
 これくらい大きく密植状態になると毎日バケツ一杯くらいの水を飲みますので受け皿では留守がちの我が家では心もとないので、たる型のプランターの底をふさいで水を張って沈めました。
 貪欲なまでに水と肥料を吸い上げて成長を続けるミズアオイを見ていると、決して地力も水も豊かでなかったこの国で、懸命に工夫して稲を育てていたお百姓さんをどれだけ苦しめたのか、ちょっと空恐ろしくなります。
 しかし園芸をとして楽しむ立場からすれば、失敗の原因トップ項目の肥料やりすぎ、水やりすぎ、による枯死の心配がほぼありませんのでありがたくはあります。水ヒタヒタなのでなめさんも寄ってきません。ただ水枯れだけはてきめんに葉を傷めてしまいますので、水はできるだけひたひたにしておきます。

ミズアオイ
 図鑑では8月から9月に花が咲くとあり、よそではもう花が咲いたという知らせが届き、やきもきしだしていた9月の10日ごろ、ようやく花芽らしいものを見つけました。根元から花茎が出てくるのかと思ったら、葉柄の途中が膨らんできました。やはり一年草というのは花を咲かせないと絶えてしまいますので、どうなっても花を咲かせようとするようです。

ミズアオイ

 これも見る間に大きくなり。花芽発見から5日で早くも開花が始まりました。
 
ミズアオイ

ミズアオイ

ミズアオイ

ミズアオイ
サムネイル・95KB - 800 x 645 (画像/jpg) 
ミズアオイ
 大きさ3cmの花は一花は2日ほどの命ですが、下から順に次々と咲きあがり、萎れた花が見苦しく残らないのが嬉しいところです。花の色は目の覚めるような鮮やかな青紫色なのですが、日向で撮影した画像では色がとんでしまっています。かといって日陰で撮影すると光に反射する花弁の輝きが消えてしまい、この花の美しさはとても伝えきれません。黄色いおしべの葯のアクセントが花に落ち着いた雰囲気を与えています。端正で美しいのですが、少しも作り物めいた感じがなく、野の花らしい愛らしさを失わないもいいところです。丸い稜線を引いて広げた葉の間からまっすぐに上を向いて花穂を伸ばす全体の姿も気品があり、花から漂うヒヤシンスを柔らかくした香りがなんとも雅やかです。

ミズアオイ
 花には6本のおしべがあるのですが、うち5本は黄色い葯がついて中央に集まり、1本は少し外れて葯がありません。
 なぜこうなっているのか念のため検索してみると、主に2説あるようです。1つは離れてついた1本だけ花粉が出て、残りは花が目立つための飾りだというものです。離れたおしべを昆虫が足場にして花粉を運ぶのだそうです。もう1つの説では離れてついたおしべは蕾の間に開いて、自家受粉をするためのもので、花の周りのおしべは他家受粉するためなのだそうです。
 果たして真相はどちらが正しいのか?あるいは別の方法で受粉しているのか??ぜひともお育てになってご自身で観察して確かめてみてください。
 結実率の高さから想像すると、自家受粉を行っていそうですが、そうだとするとこんなに大きく目立つ花を作るのって無駄とちゃうのんとも思えます。この仲間で同様に自家受粉するコナギは花は小さく半開きで半日で閉じてしまい、全く開かないで結実するものもあります。

ミズアオイ
 花が咲き終わり実が膨らむと次第に茎は倒れて下を向くようになります。画像のものは鉢植えですが、野生のミズアオイはひたひたの水に足元が浸かって生育していますので、種子を確実に水面に落とすための工夫でしょう。水中で果実が完熟して破れると、中から灰褐色の細かい種子があふれ出します。種子は最初は水に浮き、水の流れに乗って運ばれますが、やがて水底に沈み静かに発芽の時を待ちます。
 種子は条件が満たないと水中やあるいは湿った土の中で休眠を続け、その寿命は数十年に及ぶことあるようです。そのため環境の変化で忽然と姿を消したり、逆に数十年たって突然復活ということも起こります。最近でも大阪の街中のどぶの中から突如復活して沢山の花を咲かせて話題になりました。
 
 ミズアオイは在来の野草と言われますが、古代にはナギといって野菜として栽培されたそうです。本来はどこかに偏在していたものが、人間によって各地に伝播されて水辺や池沼を中心に全国に広がったようです。かつてはそれなりに重宝されたでしょうが、農業技術の進歩で稲作が増え新たな野菜が次々に導入されたため見捨てられ、あげくに水田の強害草扱いです。近年になって除草剤の普及に加え、水を張り放しにしない乾田の増加、あぜやため池・用水路のコンクリート舗装でほとんど姿を消してしまいました。しかも本来の故郷と思われる池沼や湖岸は荒れ果てて帰るところもなく、現在は要保護植物の代表格としてテレビなどでもしばしば紹介されています。
 一方で無農薬農法の増加と共にミズアオイが再び水田の強害草として復活の兆しがあるそうで、除草剤耐性種も登場しているそうです。
 また他方では、窒素を吸収する力が強いので湖沼に導入して水質浄化に使おうという人もあるようです。
 わたしのように観賞植物としての価値を重視する人間もいます。
 こう書いてくると、とりとめがなくなってきてしまいましたが、実際ミズアオイの置かれた状況は、非常に混乱しています、ほぼ全て人間の都合によって。
 大切なことは偏った立場・情報だけに依拠せず、まず立ち止まってそれぞれの立場から考えてみることだと思います。
 ミズアオイのことなんて私の生活には関係ないって?本当にそうでしょうか?
 
 ミズアオイは栽培が楽でどの園芸種にも劣らない、美しい植物です。種子をお譲りしますのでご自宅でお育てになってみませんか?
 ただし決して野外には逃がさないことをお約束ください。ミズアオイは生き物です。生き物は決して人間の思惑通りにはならないものです。
 
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テーマ:季節の花たち - ジャンル:写真

コメント

 ミズアオイの生態

ミズアオイの生態よく判りました。
僕は、浅い植木鉢に5?程の鹿沼土を入れたものに蒔き、腰水で発芽させました。
深めの(20cm)ミズキンバイとハンゲショウが生育している水槽に巻いたものは発芽しませんでした。
青色がとても綺麗ですね。
種子がxxアメの様な状態で開裂しませんがその様なものでしょうか。
コナギの写真を撮ろうと見回っていましたが、開花は…そうだったのですね。

  • 2006/11/15(水) 11:51:08 |
  • URL |
  • 春ちゃん@和歌山 #0WJRQHtU
  • [ 編集 ]

春ちゃん@和歌山さん

おはようございます。
鹿沼土は水に浮きませんか?
赤玉小粒がいいように思います。
コナギは・・・我が家でも栽培しましたが
花には正直ガッカリでした。
実は裂けるというより、
水中で崩れて破れるのだと思います。
水草類は枯れた部分は崩れやすく
貝に食われてすぐになくなります。

  • 2006/11/16(木) 08:15:40 |
  • URL |
  • ごまのはぐさ #-
  • [ 編集 ]

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  • 2014/01/29(水) 17:49:01 |
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