のみのふすま 蚤の衾 ナデシコ科


ノミノフスマは春に白い花を咲かせる高さ10cmほどのハコベの仲間の1・2年草です。湿り気のある土手や湿地を好むため、町中でこそ滅多に見かけませんが、郊外の田んぼの畦や河川敷、高原の湿地など湿り気と日当たりがあれば広い範囲で見つかります。特に田畑の周りに多く、日本の雑草の代表の一つにも数えられます。

ハコベの仲間はみな似ていますが、他に比べて葉が細く小さく、茎もすっきりスマートです。茎は地を這わず立ち上がって斜めに伸びます。節ごとに対生する葉の間から数本ずつ枝分かれした先に咲く花は径1cm足らずですが、春たけなわの花の最盛期には、芽吹きの草むらいっぱいに、10枚の花弁を広げた花をきらめく星のように散りばめて、愛らしく美しいものです。
花弁は10枚と書きましたがハコベの仲間に共通の特徴で、1枚の花弁が深く切れ込んで2枚のように見えているためで本当は5枚です。難しいことは言わず、白い10枚花弁の小さくい花はナントカハコベという名前だと思ってほぼ間違いありません。ノミノフスマの名ににハコベはついていませんが・・・(^^ゞ。

春の花に分類しましたが、実は夏にも秋にも花が咲いています。しかし暑くなるにつれて花弁が小さくなり、真夏にはすっかり無くなってまるで別の種類の花のようになって全く目立ちません。花弁がなくなるのは夏には頑張っても他の背の高い草に埋もれてしまうので、無駄に争わず省エネに走ったのでしょうか?
体を小さくして長い間種子を生産し続ける戦略は常に湿り気があり、人為的な擾乱がたびたび起こる田畑周辺での繁栄に結びついたようです。

ノミノフスマは「蚤の衾」と書きます。蚤はぴょんぴょん跳ぶ小さな虫のノミで、衾とは布団のことだそうです。
この野草の葉はどういうわけか、しばしば2枚ずつ上向きに綴じるようにつくのですが、その間から蕾が出るのを、ノミが布団からひょっこり顔を出しているようだと思ったのでしょうか?花を屋根にして草を褥に眠るノミとはおかしくもあり、「花や今宵の主ならまし」という歌も連想されて風流も感じさせます。
道端に咲いていれば目もくれず踏みつけられるようなこの小さな「雑草」も、都会育ちの私には決してありふれたものではありません。今年は種子を少しいただいてきて鉢に蒔いてみました。皆さんも一度タネを蒔いて育ててみませんか?間近によーく眺めれば、繊細な美しさを秘めた愛すべき野の花です。
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