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ヒキオコシは山の里近くの日当たりに見られるシソ科の多年草です。太い地下茎から四角く硬い茎をまっすぐに伸ばし、花期には人の背丈にも届くほどでシソ科では最大級の野草です。
対生する葉は卵を心持ち細長くした形で、黄緑色に僅かに青みがかった光沢を感じさせる表面には細毛が密生しています。
葉姿はカラムシによく似ていますが、触るととてもよい香りが立ち昇り、シソ科の仲間だと容易に判別できます。もしも鼻が詰っていても、その触れた手を舐めるだけでも強い苦味を感じることで、ヒキオコシの仲間だと知れます。
ヒキオコシとは「引き起こし」と書きます。いわくありげな名前です。
昔弘法大師が旅の途中、腹痛に苦しむ行者にこの草の絞り汁を与えたところ、たちどころに快復したために、病人を引き起こす薬草としてこの名になったと言われています。
薬効としては強い苦味成分で唾液や胆汁の分泌を促す苦味健胃剤とされましたが、乾燥すると苦味成分が抜けやすいため、薬草として流通することはほとんどありませんでした。
しかし最近では研究されてエンメイインなどという複数の抗菌・消炎成分が含まれることが分かり、美白化粧品や育毛剤・健康飲料などに盛んに利用されるようになりました。効果が薄れやすいというのは反面、体に優しく副作用が少ないということでもあるのです。
木曽地方では「御嶽延命茶」という健康茶が売店・自販機でも売られていますが、その材料にもヒキオコシが使われています。
ところでこのような薬草の仲間は、成分分析だけでは解明されない不思議な薬効があり、現在でも欧米で盛んに研究されています。

9月頃に大きく育った茎の半ば当たりから上の葉の脇から、細長い花穂を次々に出して、沢山の花を咲かせます。
花の大きさは5mmほどで、人目を惹きつけるほど目立つものではないとされます。ごま塩のようだと評する人もあるようですが、よく見ればほんのり薄い水色の地に青紫の斑点が麗しく、少なくとも私自身の評価としては、数多い秋草の中で最も姿が美しい野草の一つに数えられます。
陽だまりで逆光に浮かび上がる姿は爽やかで、自らが目立つ色を持たない代わりに、移ろいゆく初秋の日差しに染まり色を変えます。残暑が厳しい季節に他の秋草から抜きん出て伸びた繊細な花穂が、僅かな風に揺らめくのが涼やかなのですが、ときおり強い秋風に大きく揺さぶられるのを見ると過ぎ行く季節に思いがよぎり、切なさが募ります。
晩秋には葉は黄色く染まり、花茎は紫色を帯びてきます。花が落ちた後、残ったガクの中で4つずつ並んだ種子が、熟すにつれて白から薄紫色・茶褐色と変わっていく様子も美しく、茶色く立ち枯れて霜柱になるのも味わいのあるものです。

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美しく品のある姿で広がる花穂は、生け花に重宝すると思います。切り取ってすぐに水につければよく水揚げしますが、一度萎れさせるともう元には戻らないようです。
栽培はとても簡単で良く増え、よく育ちますが水はけが非常に悪いと腐ることもあります。挿し芽で簡単に根付きますが、実生だと案外に発芽率が悪いようです(それでも極めて容易な部類です)。
学名をプレクトランサスといい、仲間に外国産の観葉植物が知られていますが、ヒキオコシもまた劣らず美しい葉姿で十分に鑑賞に堪えるものです。
このヒキオコシは別名を「延命草」ともいいます。年頭にこの縁起の良い名の花の画像にあやかって皆さんの健康をお祈りさせていただき、ご挨拶に代えさせて頂こうと思います。
年末・年始にコメント・トラックバックを頂いた皆様、ありがとうございました。こちらの事情によりご返事をできないまま時日が遷延してしまいましたことをお詫びいたしますm(__)m。
勝手ながらこちらではお返事せず、後ほど皆様のサイトにご挨拶うかがわして頂こうと思います。ご無礼をおゆるしくださいm(__)m。
ごまのはぐさ













