ごまのはぐさのこまごまことのは

身近な野草についてあれこれと・・・。 日本の山野草を種子から育ててみませんか?

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タイマグラの夢

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 『タイマグラばあちゃん』を見てきました。

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こしおがま 小塩釜 ゴマノハグサ科


 
 キュッと口を結んだ蕾がなんともおかしい。花が開くと、雛が親鳥におねだりしているように見えて愛らしい。粘毛の密生した葉は光を浴びるときらめきます。
 
 おんたけでコシオガマと初めて出会ったのは、4年前の晩秋に村道を歩いていた時でした。路傍のゆるい斜面の短く刈られた芝の中に、小さな草が一本だけ抜きでて、鮮やかなピンクの花を咲かせていました。花が可愛いので意識して残されたのか、草刈後に育ったのか・・・。その斜面は今はコンクリートでしっかりと固められています。
 翌年おんたけの麓の別の小さな空き地で、ヨモギやカヤの生い茂る中でコシオガマが群れ咲いて、草はら全体が茜色に染まっているのに出会いました。素晴らしい眺めに秋が来るたびに通っていたのですが、昨年訪れるとコスモス畑になっていました。
 
 コシオガマは半寄生植物といわれます。地上部では緑の葉で光合成を行いつつ、地下では他の植物の根に寄生して水や養分を横取りするというのです。
 草丈の割りに根の発達が悪いので、寄生の件はいかにもありえそうですが、私はシオガマギク同様に寄生が生育のための絶対条件ではないと思っています。
 一昨年の春に駄目元でルリハコベの鉢植えに種子を蒔いてみると非常に良く発芽して、そのうち5株が順調に成長、ルリハコベ枯死後も成長を続け、全株開花し種子も沢山採れました。このことから、寄生するとしても生育の全期間にわたって寄主に依存する必要はないのではないでしょうか。去年は試しに種子からポット栽培したところ貧弱ながら蕾をだしたものもありましたが、台風のもたらした塩害で全滅してしまいました。

 ところで先に書いた通り、私が知る自生地が消滅してしまい、また我が家のものも全滅と、途方にくれていたのですが、以前種子を里子に引き取っていただいたMIWA@岡山さんが、上手に育てていただいていて、本当に助かりました。今後はしっかり管理して、近い将来に野に返せるように増殖を図ろうと考えています。

 昨年の晩秋にコスモス畑を探すと、すみっこでほんの小さなコシオガマが一本だけ種子をつけていました。なんとか来年も芽を出して、生き延びてくれるでしょうか。一年草ですので、休眠種子も土中に残っていると思うのですが…。
                                   画像提供 MIWA@岡山

つるにんじん 蔓人参 キキョウ科


 木曽では花の内側にある紫色の模様をそばかすに見立ててジイソブと呼ばれるらしいのですが、少なくとも私は聞いた事がありません。爺さんのそばかすと言いますが、なんぼなんでもこんなえげつない染みのお爺さんって、いてはりますやろか?

 山野の路傍でごく普通に見られる蔓草の一つです。全体が蝋を塗ったように白っぽく、良く水を弾きます。触ると変な臭いが立ちのぼります。芽出しはキキョウにそっくりですが、この臭いで容易に判別できます。
 新緑の木に蔓を絡ませて、ヒスイ色の鈴カステラのような蕾をぶら下げます。蕾の中に水滴が溜まっているのが、木漏れ日に透けて見えるのが涼やかです。図鑑で見るツルニンジンとは全く感じが違っていて、出会っても気付かない人も多いと思います。
 秋にはツチグリに似た雰囲気の実をつけています。熟すと口が開いて翼の付いた種子がこぼれ落ちます。


 日本では臭いと言われるばかりのツルニンジンですが、韓国では大きな根をドドク(沙参)と呼んで健康食として盛んに食べられるそうです。韓国料理屋でスライスを一度味見させていただきましたが薬っぽいというか、土臭いというというか、おいしい物ではありませんでした。しかし「薬食同源」山菜料理をこよなく愛するらしい韓国では、きっと美味しく食べる調理法があるのでしょう。
 日本で山菜として使われるツリガネニンジンがトトキと呼ばれるのと、ツルニンジンのドドクが似ているのは偶然でしょうか?

 種子からの栽培が簡単で、よく増えるようです。我が家では放任で勝手に増えてます。根際を涼しくするのがコツだと思います。臭いはともかく鑑賞価値は十分あると思います。 
 ツリガネニンジン引用 イー薬草・ドット・コム

しおがまぎく 塩釜菊 ゴマノハグサ科

  
 山の草原に咲くシオガマギクの美しさは、写真では半分も伝わりません。またさっと見て通り過ぎるような見方でも、魅力は掴み切れないと思います。
 花は山に咲く花の中で最も濃く鮮やかな紅紫色ですが、エナメルのような光沢があるため、写真では色がとんでしまいます。葉の表面に密生している透明の細かい毛がプリズムのような働きをするのか、角度によって葉の色が微妙に変化します。とても美しく味わい深いのですが、これも写真で再現するのは無理な話です。
 この植物は花のみならず菊に似た「葉まで」趣き深いことから、「浜で」趣き深い塩釜を洒落てシオガマギクと名づけられたそうです。たしかに葉まで美しいのは納得がいきます。でも趣深い塩釜ってなんでしょう?

 塩釜というのは塩を作るために海水を煮詰めるための釜ですね。釜というと普通は五右衛門風呂のような物が想像されます。そんなものが趣き深いと言われても、ピンと来ない人がほとんどだと思います。
 しかし明治以前の塩釜の様子を調べてみると、どうやら糸口が見えてきます。昔の塩釜は粘土造りで、今のプールぐらいの大きさの巨大なものだったそうです。そこに海水を注いで大量の葦や茅を炊いて煮詰めていたらしいのです。
 さんさんと太陽が降り注ぐ浜辺。轟々と燃え立つ炎、大量に湧き上がる白煙が青空目がけて立ち昇ります。巨大な塩釜では海水が煮えたぎり、放射される熱で辺りの空気はかげろうのようにたなびいたことでしょう。塩田で働く人夫は日に焼けて真っ黒、着物は白く塩をふいています。波の音に混じって人夫の歌や掛け声が聞こえたかも知れません。想像を膨らませると、塩釜は趣きのある風物であったように思います。

 シオガマギクは他の植物の根に寄生する半寄生植物だと言われます。ですが私が観察した限りでは、単独で生きていけるように見えます。庭にあったのを移植しても普通に育っていますし、裸地のような所でも生えてきて花を付けています。
 
 栽培は、暖地では難しいかも知れませんが、冷涼な地方では可能だと思います。以前大阪で種子を蒔いたときには良く発芽して、本葉6枚位まで成長したのですが、夏に腐らせました。冷涼な自生地では発芽から2年で開花した固体を観察しました。
 各地で自生地が消滅しつつある現在、栽培法を確立することも大事だと思います。

 ところでhanaboroさんの記事で知ったのですが、日本に自生のシオガマギクは、DNAレベルではさらに9種類に細分化できるそうです。これからは、遺伝子レベルでの種の独自性への配慮も必要になりますね。

くさぼたん 草牡丹 キンポウゲ科

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 夏から秋に信州の山間で車を走らせていると、草の茂った車道の法面に青い花が混じっているに気が付きます。人間の目は青い色に敏感なのか、ほんの小さな花でも不思議と目に入って残像が残ります。
 路傍に咲く青い花は幾種類もありますが、信州の路傍で最も目に付く青い花はこのクサボタンではないでしょうか。生育範囲が広いこともありますが、しばしば群生してそれぞれが小さな花を沢山咲かせて、法面の一角を淡い水色に染めています。
 
 丈は1mくらいになり、牡丹に似た形の照り葉をつけます。草と付きますが茎は木質化します。蔓にはなりませんがセンニンソウ属といって、テッセンやボタンヅルの仲間です。見た目の印象は隔たっていますが、ボタンヅルとクサボタンには自然交雑種のムラサキボタンヅルがごく稀に見られるそうです。
花は開くとカールします。
 長さ1cmの花弁(正式には萼片)には細毛が密生していて独特の風合いをかもし出します。織物のようにやわらかそうで、つい触りたくなります。色の濃淡には変異が多く、白に近いもの、青紫、赤みが強くピンクに近いものもあります。花後にはセンニンソウ属の名の由来である、銀髪を思わせる種子が風になびきます。
 
 おとなしい印象ながら、花も実も葉の照りも趣き深い野草ですが、傷つけると有毒の黄色い乳液を出すのが玉に瑕です。乳液が管を塞ぐためか水揚げが悪く切花に向かないのも残念です。
 間近で楽しむには鉢植えか、地植えで育てます。 種子からの栽培が簡単らしいのですが、私は嫌われているのか何度やっても失敗します。根を切られるのを好まないのでしょうか、工事現場から貰ってきたものも根付いてくれませんでした。
 一番良い方法は種子から育てることですが、最近はホームセンターでも数百円で苗が売っています。山から掘り取るより余程安上がりです。
 ムラサキボタンヅル引用 青森の・自然八甲田の四季 種子引用花図鑑のボロボロブログ 

ガガイモ (蘿芋?) ガガイモ科

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 春先に木曽路の農村をぶらぶら歩いている時、畑の境界に大きな看板が立っているのを見つけました。「草刈り無用・雑草抑制おまかせネット」の文字。傍に見に行くと、畑の境界の一部に目の細かい黒い網がかぶせてありました。どうやら雑草の芽が出たのを押さえつけて成長を阻もうというらしいです。
 晩秋に同じところを歩くと、その網目を突き破ってか、ガガイモの蔓がネットを覆いつくして小さな花を沢山咲かせていました。

 全体の姿は花屋でお馴染みのブルースターにそっくりで、ビロードのように柔らかな毛が密生し、傷つけると白い乳液が出るのも同様です。花もブルースターに劣らず美しいのですが、にゅーっと伸びた雌しべがちょっとユーモラスです。花に芳香があるのではないかと思っていますが、いつも沢山虫がたかっているので近づけずにいます。

 市街地周辺でも川原の堤防や、ちょっとした空き地の藪で、春先には蔓を伸ばしているのを見ますが、雑草として刈り取られていることが多く、なかなか花には出会えません。キュウリのようだという実を見たいのですが、そちらには未だ会えずにいます。
 新芽は同じガガイモ科のイケマと同じように食用になるそうです。若い実は漬物にということですが、食べたことがありません。
 
 スクナヒコナノミコトというちっちゃい神さんは、ガガイモの実で作った船で海を渡ってやってきたとか・・・。イケマがアイヌに神聖視されたことと、関連があるのでしょうか。名の由来は謎だそうですが、古くから馴染みのあった植物のようです。

 ガガイモに関しては、まだまだ知りたいことが多いので、いずれ改めて取り上げたいと思います。他のガガイモ科の植物も世界中に変り種が多く、人間と関わりも深いので調べて見ると面白いと思います。

くがいそう 九階草 ゴマノハグサ科

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 輪生する葉が茎に何層にも重なるからクガイソウ。山地の草原で、夏に細長い花穂を伸ばしているのを良く見かけます。草丈は1m、花穂は長さ30cm以上になります。大群生はしませんが、必ず一かたまりに群れて咲いています。
 高原の風に吹かれて揺れる青い花穂には、色とりどりの蝶が舞い降りては、盛んに蜜を吸っています。蝶や花蜂に人気の花で、彼らが舞い飛ぶのを見ているだけでも終日飽きません。

 個体差が大きく白に近い物から、濃い瑠璃色まで、様々なバリエーションが見られます。画像の花は我が家の庭の固体ですが、特別色が薄く花穂も貧弱であまりぱっとしません。
 おんたけ山麓では草丈1mほどで花穂が一本の固体が普通なのですが、標高1800mを超えると大きさが1.5倍に達する個体群が出現します。花色も濃く、花穂も多数出し、繊細な低地型に比べて豪壮な風格が漂います。詳細に観察していませんので確かなことは言えませんが、クガイソウの北地型変種のエゾクガイソウではないかと思います。
 興味深いことにおんたけではリンドウとリンドウの北地型エゾリンドウが同じような分布をしています。エゾリンドウやエゾクガイソウは木曽の辺りが冷涼であった古代の生き残りで、クガイソウやリンドウは温暖化によって比較的最近進出してきた新興勢力だと考えられます。そうだとすると見た目では似ていても系統は遠く隔たっていることになります。

 花後5mm程の果実を沢山つけます。中に細かい種子が詰まっていますので、茶色くなったら穂ごと採取して袋の中ではたくと大量に種子が落ちてきます。
 採り播きにすると春に良く発芽し、芽だしは小さくても、成長が早いので管理は簡単な部類です。上手に肥培すると発芽の翌年に開花、その次の年には株立ちになります。
 最近はこの仲間で花の美しいルリトラノオ(ベロニカ)の園芸種が出回りますが、風情があるという点では、繊細な花穂を風に揺らすクガイソウが勝っていると思います

レモンえごま 檸檬荏胡麻 シソ科

 韓国料理では「ゴマの葉」という食材がよく登場します。見た目はオオバシソ(アオジソ)に似ていますが、葉のふちのギザギザが細かくすんなりしています。キムチにしたり、プルコギや焼肉を包んだり、海苔のようにおにぎりを巻いたりもします。程よい苦味があって柑橘系の香りが爽やかなおいしい野菜です。「韓国の人は葉っぱまで食べるやなんて、ほんまゴマ好きやなー」と思っていました。でもこれが調べてみると「胡麻」の葉とは全く似てもいない、よく分からない食材なのでした。
 
 では何の葉っぱなんでしょうか?私のような疑問をもつ人は他にもいるようで、本を読むと実はエゴマの葉だという説明が見られます。確かに見た目はそっくりです。でもエゴマの葉はとっても臭いらしいので、違うんじゃないでしょうか。
 私はその正体は、レモンエゴマというシソ科の野草か、それに極めて近い変種ではないかと考えています。レモンエゴマとは葉にレモンのような香りのするエゴマに似た植物だそうです。日本の各地でも普通に自生していて、昔はよく食べられたそうです。因みにオオバシソはレモンエゴマから作られたらしいです(アカシソは外来種です)。

 
 以上知ったようなことを書いてきましたが、実は私はエゴマもレモンエゴマも食べたことがありませんので、全く推量の域を出ていません。画像は木曽の路傍で紅葉していたのを偶然見つけたものです。群生しているならともかく、一株しか見つからなかったので、試食はできませんでした。ところによっては雑草扱いらしいのですが、縁がなくなかなか出会えません。
 
 生の「ゴマの葉」はスーパー等で見ると、結構ええ値段がしています。正体がレモンエゴマだとすると、種を蒔けばうちで育てて気軽に食べられるんやないかなー、と目論んでいる今日この頃です。
 種子や情報をお持ちの方はいらっしゃいませんでしょうかm(__)m。

やまのこぎり 山鋸 キク科

 ハーブやワイルドフラワーでお馴染みの花色豊かなアキレア・ヤロウ等はまとめてセイヨウノコギリソウと呼ばれます。セイヨウと付くからには、日本にもノコギリソウが自生しています。 日本のノコギリソウは色は白一色ですが、清楚な美しさは西洋種に決して引けを取りません。香りに至っては、変な異臭の混ざる西洋種と比べて、爽やかで心地良いものです。(上はヤマノコギリの画像)


ノコギリソウの花

 おんたけの高原ではその変種のヤマノコギリでが見られます。小さいとはいえ径8mmはある花を密に付けるノコギリソウに対して、草丈1mの茎の上部にに径5?の花を疎らに控えめに咲かせます。ノコギリソウと並べるとかなーり地味です。日当たりの良い湿地や湿った草原に生えて、春の芽出しの頃にはギザギザの櫛のような葉で目に付きますが、花の頃には他の草に埋もれてまるで目立ちません。
 私は晩夏にひっそりと咲くこの花を見つけると、さびしげでしんみり長いこと眺めてしまいます。もっとも虫は盛んに訪れていますので、人間の目には目立たなくても我関せずでしょう。

 最近はどこの野山でも園芸・緑化用から野生化したセイヨウノコギリソウが見られるようになりました。一度根付くと四方に細い地下茎を張り巡らせて爆発的に増殖し、これからますます日本中を席捲しそうです。
 反対に日本のノコギリソウの仲間は湿地や草原の開発で衰退の一途を辿っています。かつての図鑑には山野にごく普通の野草と紹介されていたのですが・・・。

 晩秋に長さ2?ほどの種子(痩果)を実らせます。採り播きでも春蒔きでも良く発芽します。栽培は簡単で、ノコギリソウは発芽当年に開花するそうです。ヤマノコギリは開花まで2,3年かかります。挿し芽で簡単に増やせます。
 この野草を干したものを煎じて毎日飲むと、ボケ封じになるらしいです。私には手遅れかもしれませんが、我が家では現在せっせと増やしています。

みつもとそう 水元草 バラ科

 キジムシロ属といって、赤い実はなりませんがヘビイチゴに近い仲間です。この仲間の多くは、春に地面に這うように伸ばした細い茎に花をつけるのですが、ミツモトソウはしっかりした茎を膝の高さ位まで立ち上げて、宙に枝を広げて夏から初秋にかけて花を咲かせます。
 リズミカルに伸びた茎が枝分かれした先に、数枚の葉と花穂をコサージュのようにつけます。葉は薄く、ビロードタッチで優しげに見えます。端正な花は1cmと小さめですが、陽の光に輝いてよく目立ちます。

 
 山地の日当たりの良い小川の縁の草原や、湧き水の周りに生えます。おんたけ山麓では田の用水路の縁などでもよく見られます。
 湧水の近くに生えるからミズモトソウ、それがいつの間にかミツモトソウに変化したのが名の由来といいます。由来が分かっているのだからミズモトソウに直すのが正しいのでしょうがミツモトソウの方が語感が軽やかで、草姿の印象に合っているようです。
 
 花後茶色い種子(実は果実)を実らせます。採り播きすると、よく発芽します。乾燥を嫌いますが、過湿もよくないようです。ハダニやアブラムシに好かれるので注意が必要ですが、栽培は難しくありません。春秋は日当たり良く育て、夏は軽く遮光します。鉢植えではたまに霧吹きをしてやります。2年目から花が咲きます。
 庭で育てて切花にすると、爽やかで良いものだと思いますが、切花はまだ試したことがありません。
 中国では薬用にするとか?狼牙と呼ばれるらしいのですが、どこが狼の牙なのかよくわかりません。

ぼたんづる 牡丹蔓 キンポウゲ科


 牡丹鶴とは着物の模様にありそうな雅やかな名前ですが、鶴は残念ながら蔓と書きます。葉が牡丹の葉に似たつる草だから牡丹蔓とはちょっと興ざめです。
 植物図鑑では普通センニンソウ属と呼ばれますが、園芸的には学名からクレマチス属と呼ばれることが多くなってきました。言葉は生き物ですから変っていくのは仕方ないのですが、日本語のもつ薀蓄も大切にして欲しいものです。
 ついでに昔の本を見てみると「ウマノアシガタ科センニンソウ属ボタンヅル」となっています。今は「キンポウゲ科クレマチス属ボタンズル」ですからまるで全然違う植物ですね。どちらがいいかは別として。

 属名の通りテッセンやクレマチスにごく近い植物で、蔓はそっくりです。1cmくらいの花を蔓の先に羽衣ジャスミンそっくりに沢山咲かせます。山地の路傍ではごく普通に見られる花ですが、あまり目立ちません。夏に咲く白い花は、強い陽射しで霞んでしまうようです。花には芳香がありますが、少し高い所で咲くことが多いので、気付く人は少ないようです。
 花の最盛期は絡んだ木が花のドームのようになり、大変美しいものですが、庭ではあまり栽培されません。最近は海外から似た系統がぞくぞく導入されて人気を集めている一方で、あちらではこのボタンヅルが愛されて栽培されています。面白いことですが、寂しくもあります。
 
 挿し木を試したら簡単に根付きました。種子は蒔いたことがありませんが採り播きでよく発芽するそうです。うちは放任主義ですが細かい管理はテッセンに準じてよいと思います。寒さには強いのですが平地では少し暑がるかも知れません。アーチなどに絡ませるとよく茂ります。茎は折れやすいので注意が必要です。


関連記事 牡丹蔓

テーマ:野草の写真 - ジャンル:写真

おにしもつけ 鬼下野 バラ科

 信州の高原で初夏というと七月の上旬頃になります。そして初夏の高原に咲く花はまずスズランやササユリ等があげられますが、オニシモツケもちょうど同じ頃に群生して一斉に開花します。草丈は人の背丈まで伸び、大きな花穂に小さな花を泡立つように咲かせます。遠目にもなかなかの迫力ですが、観光ガイドなどではあまり取り上げられません。私もあまり関心を持ってみてきませんでした。
 可憐というには図体がでか過ぎますし(そもそも私は小さい花を偏愛する傾向があります)、花穂が茶色く汚れたような色で、近づいてまで見ようという気が起こらなかったのです。
 それが昨年偶然間近に見る機会があり、ようやくその花の美しさを知ることができました。大きさ8mmほどの桜のような花がびっしりと咲いています。長いおしべが繊細で、丸い蕾も珠玉のようで花穂全体が精緻な「花飾り」のようです。少なくとも間近で見る分には、古来美しいと賞せられるキョウガノコですら、野暮ったく思えるほどでした。

 与謝野晶子はシモツケの花を好んだらしく、シモツケを織り込んだ歌をいくつも作っています。 
  摘まれ来て露の乾かぬしもつけの花の卓の山の朝食
オニシモツケの名の由来ですが、その花の美しさを知った今は、鬼の娘が摘むにふさわしい花だから名付けられたのだと思っています。

 花後に見に行くと、柳の葉のような形の小さな果実を沢山実らせていました。少し採取して蒔いてみましたが、厚さ0.5mmにもみたない果実からちゃんと発芽するのか、あるいはシイナなのか、春が来るのが待ち遠しいです。

 ハーブでセイヨウオニシモツケというのがあったと思うのですが、Googleでヒットしませんでした。私の記憶違いでしょうか?ご存知の方はいらっしゃいませんでしょうか。
onisimotuke

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まとめ

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